第一回自主公演 
    
    
影絵ファンタジー羽衣伝説
 
舞台設営

 
小ホール公演ということで、会場全体を舞台にしようと思いました。客席の前面3分の1にはゴザを敷き、又四郎や銀狐が通る道をその後ろに作りました。ゴザ席の上手には鼓太郎とお春が笛太鼓を奏でる特設ステージを、下手には雅楽用の特設ステージを組みました。子どもたちはゴザに座って“いい子して”観てくれました。ストーリー自体はちょっと難しいけど、影絵の美しさには感動してくれたようです
主役=又四郎

 今回の演出で変えてみようと思ったのが、又四郎のキャラ設定です。前半のピカレスクなイメージが強くて、人間らしさが感じられないと常々思っていました。今回の又四郎はもっともっと人間くさい男にしたかった。 又四郎は間違いなくこの演目の主役です。この劇自体を引っ張っていってもらわなければならないのです。大吾朗は本当によくやりました。間違いなく今回の公演がベスト・アクトでした。見事な主役ぶりでした!
主従関係

 梟と銀狐の間にも人間らしい(人間じゃないのですが…)情をかよわせたいと考えました。まだ未熟なところのある森の長(おさ)・梟、そしてそんな梟に仕えるおっちょこっちょいが玉にキズの銀狐。
 演出の未熟さもあり意図した
ところまではいきませんでしたが、この二匹(二人)のキャラが活きてくればこの演目の幅は広がります。もう少し時間がほしかったぁ〜。リハーサルから石賀さんがステージからのスロープを駆け下りるのですが、毎回全力投球!ただただ怪我をしないように祈ってました。
天人と天女

 天人には優しさを求めました。天女には気高さを求めました。二人には高貴さを求めました。大ホール用のオーバーアクションも抑えるように演出しました。天人の死ぬ場面は日置さん入魂の芝居でした。河本さんの天に帰る前の演技は貫録満点。(ちょっと迫力がありすぎたかも…。)二人の間には大きな愛情を求めたのですが、稽古の時は見つめあう度にお互い吹き出していました(笑)
子役たち

 
鼓太郎役は好美ちゃんが三代目。彼女自身は国民文化祭に続いて二回目の舞台になりました。力(りき)が入ってました。熱演でした。今回の公演のムードメーカーはまさしく彼女でした。演技以外にも影絵操作のセンスの良さに驚かされました。晴美ちゃんは年末に急きょキャスティングしました。舞台度胸満点で可愛らしいお春を演じてくれました。二人はふだんからも本当の姉妹のよう。それが舞台上にも十分生かされました。息がぴったりの双子でした。玉ちゃんの音響はノーミスだったと思います。良い仕事でした。次回はぜひ舞台に出したい!
コロスたち

 
今回のコロスは一人を除いてすべて新人を起用しました。スクリーン上げ下ろし、所作はまだまだですが、セリフをあわせての合唱はピタッと息が合っていました。稽古の合間をぬってよく練習してたもんなぁ〜。稽古は裏切りません。ユートとヒサノリは前説までやってくれました。ギャグを入れられなかったのが心残りのようですが、すがすがしい良い前説でした。佳央ちゃんは念願かなって初の裏方。千夏ちゃんはお兄ちゃんに負けずに頑張りました。大谷さんは大人のムードメーカーでした。
大団円

 最後は周囲の反対を押し切り、やはり花吹雪を散らせました。花は春の訪れを意味します。やはり必要でした。「ドサッ」と落ちないようユキカゴの中に針金をはわせました。荒谷舞監のアイディアでした。彼には口では言い尽くせないほどお世話になりました。マキノは初めてのOHP操作で大変だったと思います。それ以外にも演出のフォローもしてくれました。二人になると僕の悪いところをきっちりと指摘してくれました。ぜひ次は演出や役者もやってほしい。雅楽の後藤さんも今回は早い時期から関わってくださり、皆と仲良くなったようです。辻くんも短期間ですがのめり込んでくれました。賢い青年でした。

 こうして初めての自主公演、初めての二回公演は大団円を迎えました。一回目と二回目、ミスが出た箇所がそれぞれ違い、二つを合わせることができたらよかったのに…。集中力を保つのは本当に難しい。 まあるいお月様の大合唱は可愛くてとてもよかった。カーテンコールも最後に飛び出してくる又四郎がカッコよかった!! さわやかな終幕でした。
 
 お客さんの温かい拍手が何よりも嬉しかった! 「お客さまは神様です!」を心より実感した自主公演でもありました。みんな、お疲れ様でした。


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