男の子(鼓太郎)と女の子(お春)。毎晩太鼓と笛を奏でている。そばにはあたたかな面持ちで子どもたちをみつめる母親。ふたりの子どもは季節を知らずに12年の時を生きてきた。地上は荒れ、春は訪れなかった。そんな中、ふたりの見たこともないような美しい月明かりのもと、月の花と呼ばれる香しい花が咲き始める。そう、12年ぶりの春の訪れだ。 なぜ12年もの間地上には季節が訪れなかったのか?子どもたちが問うと、母は…。話は12年前にさかのぼる。 |
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12年前。 神聖な羽衣石山泉のしめ縄をひきちぎると、天空より舞い降りる一羽の美しい鳥に銃口を向ける猟師・又四郎。あの鳥の毛皮を売れば、きっと大金持ちになれる。引き金を引こうとした瞬間、なんと鳥は姿を変え天女に…! |
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天女の羽衣を盗んだ又四郎。そこに天界のしもべ・銀狐が天人の姿になりかわり、天女の羽衣を取り返そうと現れる。 | |
悲劇…。 又四郎は大きな罪を犯してしまう。雷鳴がとどろき、大雨が降りだす。天帝のすさまじいばかりの怒りが地上を襲う。 |
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雨、風、雷、村は流され、人も流され…。 天女の羽衣を売ろうとする又四郎。又四郎はまだ自分の犯した罪の重さに気付いていない。 大雨の後は日照り…。動物たちは次々と死んでいく。そして数奇な運命のもと、双子が産声をあげる。 |
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天女と又四郎の再会。 罪を心から詫び、赦しを請う又四郎。又四郎は天女に罪を償うことを約束する。 |
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12年もの間、春を見たことのなかった子どもたち。子どもたちが毎晩奏で続けた笛と太鼓の音色に、怒りを鎮めた天帝は季節を元通りにしたのだった。 しかし子どもたちには、もうひとつの大きな事実がつきつけられた。 いやだ、そんなのいやだ…。子どもたちは必死になる。 |
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しかし天帝は、季節を元通りにすることともうひとつ、子どもたちに大きな贈り物をしたのだった…。 | |
空からは花びらが舞い、美しい月がその空をいっそう幻想的なものへと際立てる。感動のラストシーン。 | |
子供たちが奏で続けた笛と太鼓は、今も倉吉の地で奏で伝えられつづけられている。地上に季節が戻ったことの感動を強めるかのように、美しいステージが現れる。 |